日本保守党を理解したい

シンジャかシジシャか?

理解し、確固とした信念をもって支持する。
きっと日本は良くなる。

【鯖尾ノート】日本保守党 政策18.国会議員の歳費~

18.国会議員の歳費、地方議員の報酬を一般国民並みの給与にまで引き下げる。

2024.1.7
政策18から20までの3項は、「議員の家業化をやめる」ための政策となります。


国税庁によると、2021年(令和3年)の日本人の民間給与所得の平均年収は443万円です。これはいわゆるサラリーマン(源泉徴収)の方々の平均年収です。(*1)


【国会議員の年収】


まずは、用語の意味です。
「歳費」とは、国会議員に支払われる月給のことです。
「報酬」とは、この場合、地方議員に支払われる費用のことです。


※国会議員の年収

歳費 年額1552万8千円
期末手当 年額635万円
合計2187万8千円


これに加えて、
「調査研究広報滞在費」 年額1200万円(非課税・領収書不要)がありますので、
国会議員の年収は最低でも 3,387万8千円あるということになります。
委員会の役員や議長、大臣などは、さらに付加されます。


調査研究広報活動費というのは、領収書不要ですので、いったい何に使っているのか、あるいは使っていないのか突き止めようがありません。
きっと使っていないのだと思います。


※地方議員の報酬(東京都の例)

議員報酬年額 約1,226万円
期末手当 約434万円
年収 約1,660万円


さらに、
政務活動費(政務調査費) 年額720万円がありますので、
総合計約2,380万円です。


これ以外にも
費用弁償 1日約1万円(本会議や委員会に出席する際の交通費などのこと)
など手厚い報酬が支払われています。


【議員の家業化とは】

「家業化」を別の言葉で表すと「世襲」です。
国会議員の約30%、自民党で40%、野党で20%が世襲議員だそうです。


民間人が家業を継ぐのは、もちろん悪いことではありません。
では、公務員の子供が公務員になるという場合はどうでしょう。
これも、まったく悪いことではありません。これらはむしろ良いことかもしれません。身近な先達の背中を見て育った子供は、きっと有益な人材となることでしょう。


しかし、議員の世襲というのは、公正な採用試験などはありません。これは一般公務員で言うところの、いわゆる「縁故採用」のようなものです。「縁故採用」は採用試験で便宜が図られるので違法です。能力の劣る人材が採用されるなどの悪影響がでます。
日本の国会議員や地方議員は「特別職の公務員」という立場です。議員が家業化されると、縁故採用以上の悪影響が出ることは言うまでもありません。


前項で述べたとおり、議員はたいへん儲かります。
選挙はあるものの、小選挙区制なら公認をもらえれば勝ったも同然ですから、無能な子供たちに世襲させたいと思うのは親心からなのでしょう。



ちなみに中国では、中国共産党の幹部や幹部子息が、能力の有無に関係なく行政の重要ポジションに就いたり、親族関連の企業に便宜を図ったりしているようです。
例えば習近平などは、wikipediaによる情報を要約すると「父が八大元老であった習仲勲であり、いろいろあって中学1年以降に正式な教育を受けていないものの、個人の政治身分の推薦入学制度によって、清華大学化学工程部に無試験で入学し1979年4月に同大学を卒業した」とあります。


日本はさすがにここまでは腐っていませんが、議員の家業化による悪影響は出てきています。


【世襲議員の問題点】


<有能な議員の選出が阻まれる>
①世襲議員というだけで公認を得やすい
小選挙区制の場合、公認を受けることができなければ、政党から立候補すらできません。
世襲議員は、親の人脈などが出来上がっているなどのことから、公認を受けやすく、競争原理が働かず、そのため有能な人材が議員になるチャンスを奪っているといえます。
②世襲議員と後援会の関係
後援会を引き継げるので、選挙運動において有利であることも公認を得やすい理由のひとつです。
③政治資金団体も世襲する
「政治にはお金がかかる」と、よく議員の方が仰っているのを耳にします。つまり政治資金団体を世襲できると選挙に有利だということです。
後述しますが、政治資金収支報告書を見てみると、確かに数千万単位の多額の資金が政治活動に使われていることがわかります。本当に国民のために必要な経費かどうかを判定する術はありませんが、お金がかかることは事実の様です。


<金権体質になる>
④家業化することで利権が固定化する
世襲が続くことで、利益誘導などが常態化し、断ち切ることができなくなります。
利益誘導とは、政治家が選挙での支持確保を目的に、特定の利益団体に対して便宜を図ることです。
利益誘導それ自体を規制することはできません。表向きの合理的理由さえあれば、法律で規制することは現実的に不可能だと思います。
最近の話題で利益誘導かと推察される事案を例に挙げると、原油高騰時にガソリン税減税をおこなわず、業界団体に補助金を充てるとしたのも、表向きの理由はともかく、利益誘導によるものだったかもしれません。
こういったことは国でも地方でも、大なり小なり起きていることだと思います。
これが世襲となると、税金の使われる先が固定化し、公金が特定の団体に流れ続けるということも起こりえます。


【政治資金収支報告書】

政治資金規正法において、政治資金の収支報告が義務化されています。
これらは国会図書館や総務省のHPで閲覧可能となっています。


後援会や政治資金団体の名称には、必ずしも議員名が入っているわけではありません。
ある議員の資金管理団体を調べたいと思ったなら、まずはじめに「議員名 報告書」と検索して団体の名称を知る必要があります。これですぐに報告書が出てくる場合もあります。
あるいは、総務省がまとめている「現職国会議員の資金管理団体一覧(令和4年)」で、各議員の政治団体の名称を確認してみましょう。(*4)


そのうえで、次の2つのlinkなどを使って検索すれば、目的の収支報告書にたどりつくことができます。ここには政治資金の使途なども明記されています。
政治資金収支報告書は複式簿記ではなく、家計簿みたいなものですので、会計の知識が無くても内容を把握しやすいのではないかと思います。


国会図書館では、以下のlinkで「議員名」と「収支報告書」というワードで検索すれば、目的の収支報告書にたどりつけます。


総務省のサイトでは、総務大臣へ届け出義務がある分について、分類整理されたものが閲覧可能です。


お金の流れを追うと、いろいろと見えてくることがあります。政治資金はいろいろな形で還流していますから、なかなか興味深いです。



【世襲議員の後援会の収支報告書】

参考までに世襲の大物議員である河野太郎氏の後援会の政治資金収支報告書を見てみましょう。
>> 河野太郎事務所の令和3年分の収支報告書
これを見ると、
翌年への繰り越し額は8,662万円です。
河野太郎議員は、大臣経験者でもありますので寄付なども多額です。
報告書には、誰からいくらの寄付があったかの明細が記載されています。
政治資金パーティについては、その中身の明細はありませんが、パーティの主催者などの情報は明記されています。


ここでは河野太郎議員の収支報告書を例に見てみましたが、この例を見てもわかる通り、議員が世襲する際には、この後援会を引き継ぎます(あるいはここから世襲議員の団体へ寄付される)ので、多額の政治資金が非課税で世襲議員に引き継がれます。


話は変わりますが、令和4年中に河野太郎議員から当後援会に対して4000万円ものお金が貸付されています。
この後援会の資産は、
現預金残高 約3008万円
借入残高 4449万円(河野太郎議員から)
合計 7449万円の資産を持っています。
複式帳簿ではないので、繰越額と資産額との差(1,213万円)が何なのかはわかりません。


しかしなぜ、潤沢な資金があるのにもかかわらず、議員本人から後援会に貸し付けをするのでしょうか??(*2)


※議員の政治活動とは

次に興味深いのは、政治活動とはどういったものかを示す事例です。

これは2021年(令和3年)9月に「株式会社グリーン・シップ」という会社がおこなった、「衆議院選挙に関する調査」についての記事です。
「次期総理は河野太郎氏に期待」という調査結果がでているという内容の記事ですが、この記事は新聞記事などではなく、共同通信PRwireというサイトに掲載されていますので、PRが目的なのだと思います。
「河野太郎氏を次期総理に」と宣伝しているのかな? と鯖尾は感じました。


ちなみに、前述の令和3年の河野太郎後援会の収支報告書(83頁の一行目)には、「株式会社グリーン・シップ」に対して「架電料」(おそらく電話調査料)という名目で1000万円が政治活動費として支払われています。


もちろんこれは違法性のあることではありません。
「河野太郎後援会が、当該企業に対して世論調査を依頼して、その報酬として1000万円支払った」ということです。まったくなんの問題もありません。


この1000万円を原資とするお金は、次のように流れていきます。


河野太郎後援会
⇒(株)グリーン・シップ
⇒共同通信PRwire(共同通信社の関連会社)


共同通信社にとって、河野太郎後援会はエンドユーザーということになりますね。


グリーン・シップや共同通信社関連の代表・役員の方々は政治資金パーティには出席されたのでしょうか。パーティ収入は明細の提出が不要なのでわかりません。


大人の世界って面白いですね。
いろいろと想像力を掻き立てられます。



※世襲でない議員の後援会収支報告書

比較のために、高市早苗議員の令和3年(2021年)の収支報告書のlinkも示しておきます。
>> 新時代政策研究会の令和3年分の収支報告書


令和3年における収支報告書記載の内容を比較すると


「個人からの寄付額」
河野太郎議員 約2,723万(延べ約579件)
高市早苗議員 約5,240万(延べ約928件)
高市議員が河野議員の約2倍


「政治団体からの寄付」
河野太郎議員 約477万(延べ約8件)内、麻生太郎議員から400万
高市早苗議員 40万(1件)
河野議員が高市議員の約10倍


「政治活動費」
河野太郎議員 約7,154万
高市早苗議員 約505万
河野議員が高市議員の約14倍


単にこれらの報告書をみただけで、なにかを結論付けるのは明らかに早計ですが、推論を導くには十分条件だと思います。
あえて鯖尾の推論を言わせてもらいます。


①世襲でなくとも、たくさんの政治資金を得ることができる。
②後援会の政治活動費は500万程度でも十分である。


この政治資金収支報告などを見て比較したりするというのは、趣味にできるくらい興味深い作業でした。年ごとに比較すると、いろいろな政界の情勢なども見えてきますが、ここではもうこれくらいにしておきます。


【政治に金はかかるのか】

「日本一給料の安い市長」である名古屋市の河村市長の報酬は600万円です。
それ以外には年金が264万円ほどあるようですが、これは国民全員にもらう権利がある個人的な収入です。全部足しても864万円です。


さすがに河村市長の600万円というのは安すぎると思っています。鯖尾より人の役に立っているのに、鯖尾より少ないなんておかしいのです。
鯖尾の感覚では、政令指定都市の首長クラスなら、当該自治体の公務員の最高年収の1.5倍くらいはあって当然ではないかと思っています。地方議員に至っては、公務員の部長クラスの収入があれば十分でしょう。そうなると金のために世襲するよりは公務員になったほうがましだと考える議員も増えるでしょう。


では、総収入864万の河村市長は、お金が無くて政治活動ができていないのでしょうか?


いえいえ、そんなことはありません。
河村市長は、2009年4月から5回の市長選挙に当選している現職です。
しかも、コロナ禍に「金メダルをかじる」というイメージダウンをやらかしても当選しているのです。なにより名古屋市民が河村市長の「市政に対しての実績を認め信用している」ということだとおもいます。


以下は、河村市長の政策研究会の収支報告書です。
>> 河村たかし政策研究会の令和3年分収支報告書
見ていただけるとわかりますが、河村市長個人から450万円がこの団体に寄付されています。市長の総収入864万から455万を寄付しているので、河村市長の生活費は409万円です。
清貧すぎて泣けてきます。
団体の支出のうち政治活動費は455万円ですが、そのうち200万は、減税日本(政党)に寄付しています。減税日本は河村市長だけの政治活動をするわけではありません。
そして、その政治活動を通じて得られる市長の報酬はたったの600万円です。


前述の高市早苗議員の政治活動費をみても、年間の支出額は693万円程度です。
全国規模の政治活動であっても700万程度しかかからないということです。
これらのことから、
政治に金がかかるというのはウソだと言えませんか?


繰り返しになりますが、世襲議員である河野太郎後援会の政治活動費は7,154万円でした。
ケタ違いでしたので、鯖尾も最初は見間違いかと思いました。(*3)


政治家が政治に金がかかると思い込んでいる理由は、
・そもそも政界の風土が金権的である
あるいは
・能力や信用がないからお金を使わないと当選できない
といったところにあるのではないでしょうか。



【世襲を禁止すればいいのか】

議員の収入などは明らかに多すぎます。
議員収入を少なくできれば、「世襲しよう」「家業化しよう」「せっかく築いた地盤がもったいない」なんて思わなくなり、世襲議員を減らすことができ、有能な人材が政治家になる機会が増えます。
社会で役に立たない人間が、一発逆転で選挙に出ようとか、売れなくなった芸人が新たな職業としての議員に転向するということも少なくなるはずです。


しかし単に「世襲をやめさせる」というのはいけません。
無能で自己愛の強い政治家が世襲議員の後釜になるだけです。


家業化をなくすには、世襲したくなる根本原因をなくすことができれば、公の役に立つ有能な政治家が今よりもっと多く選出されることになるはずです。



【議員の収入に適正水準はあるのか】

最初にご紹介した通り、給与所得者の平均年収は443万円です。
国会議員の最低収入は、給与所得者の7.6倍にあたる3,387万円でした。


日本保守党の言う「一般国民並」というのは、平均年収のことを言っているのではありません。そうだと認識しています。


ではどの程度が望ましいのでしょうか。
「世襲を防ぐ効果がでる程度に低く、かつ、職責に見合った収入」というのはいくらなのでしょう。


例えばイギリスだと議員一人当たり1200万円程度だそうです。
感覚的には、日本も役職のない議員であれば、年収1,200万円程度が妥当ではないでしょうか?高収入の給与所得者と同程度の収入だと思います。


例えば、日本の給与所得者の平均年収(税引き後)の3倍というのはどうですか?
そうすれば国会議員は国民所得の増加を目指す政策を進めるのではないでしょうか。


調査研究広報滞在費にいたっては、領収書不要の非課税収入です。一議員に領収書のいらないお金が月額100万円も必要な理由がわかりません。スパイ活動でもしているのでしょうか。


※鯖尾の国会議員報酬案

議員歳費:1200~1500万円程度(期末手当等なし)
(直近3年分の給与所得者の平均年収(税引き後)の3倍)
調査研究広報滞在費:廃止
新幹線・航空券無料:廃止
経費支給:精算のうえ上限100万円までを支給・公表
大臣手当:別途支給し経費上限拡大
委員手当:廃止し経費上限のみ拡大
その他の手当等:一切廃止


あらゆる経費は、精算させて公表するようにしましょう。
これでは足りないという議員さんがいらっしゃるなら、頭を使って工夫してください。民間人も英国議員も工夫してやっています。
安心してください。無能でなければできますから。
無理なら議員を辞めていただいて結構だと思います。
議員総数も減らせます。


もう一点、
議員の政治資金団体の帳簿は複式簿記にして、紙のPDFではなく数値データ化して公表していただきたいです。そうするとさらに透明性が増します。
複式簿記は税理士・会計士事務所に委託すれば月額、数万円~でデータ化も可能です。その分の経費は別途支給しても良いかもしれません。



-----注釈ほか-----
(*1)サラリーマン以外の方の収入はどうでしょう。残念ながら自営業の方だけの平均年収を調べるには至りませんでしたが、確定申告所得の平均は約700万円と算出できました。
申告所得金額には、確定申告による給与所得、個人事業の所得、不動産所得、株式の売買益や配当などが含まれています。
国税庁のHPにある、申告所得税標本調査結果のデータをもとに算出しました。所得金額合計46兆2,862億を申告納税者数656.9万人で割った金額です。


(*2)これは鯖尾の創作ですが、例えば、鯖尾が議員だとして、息子(鯖尾Jr)に議員を継がせたいと思った場合にどうすると思いますか? 
鯖尾はすごく悪知恵が働きます。
鯖尾が選挙資金の足しにと思って、鯖尾Jrに1億円の遺産相続をしたなら、その大半は相続税で持っていかれます。
ところが、鯖尾が後援会に貸付したとしましょう。鯖尾の後援会なのですから返済義務を履行する必要はありませんし、鯖尾も返してもらう必要はありません。
もちろん政治資金団体に「貸付」というかたちで資金移動をおこなえば、その分に対して相続税はかかりません。そして、返済はせず、鯖尾が死ぬまで全額返済しません。むしろ、毎年貸し付けを増やしていきます。
鯖尾が亡くなる前に鯖尾Jrが立候補したら、鯖尾Jrの政治資金団体に鯖尾後援会から寄付します。いずれ鯖尾が亡くなったら、債権者死亡で貸付金はまるまる鯖尾後援会のものになります。残高は全額Jrに寄付です。
どうですか。使えるスキームでしょ。


(*3)何人かの政治資金団体の収支報告書を見ていて、これらは大きく3つのパターンに分類されることに気付きました。
①高収入ー高支出(例:河野太郎事務所)
②高収入-低支出(例:新時代政策研究会)
③低収入ー低支出(例:河村たかし政策研究会)
どうしてこうなるのかは皆さんでご考察ください。
ちなみに、収入のうち寄付以外のものでは、パーティ券収入というのがあります。
これは開催した催し名(例えば「○○議員勉強会」など)と日付、合計収入金額を記載すれば良いだけですので、誰がパーティ券をいくらで何枚購入したかということは、収支報告書には記載されません。
「高収入-高支出」ということと、「パーティ券収入は明細が不要」などといった事柄から、何を推測するのかは「あなた次第」です。


(*4)この一覧は「国会議員等公職の候補者が、その者のために政治資金の拠出を受けるべき団体として、その者がその 代表者である政治団体のうちから指定した1の団体をいう。」とありますので、この一覧で一議員の資金管理団体すべてを網羅しているわけではありませんし、代表者が議員ではない場合、この一覧には記載されません。



>End