【鯖尾ノート】日本保守党 政策15.税の簡素化、~
15.税の簡素化、不公平感の解消、労働力不足への対応のため「二分二乗制」の導入も含め、検討し提言する。
2023.12.29
早速ですが質問です。
「二分二乗制」って、なんのことでしょう?
1.タクシーの相乗り料金制度
2.通勤ラッシュ時の列車ダイヤグラム編成方式
3.看護師向けの新しい労働シフト制度
【二分二乗制】
※労働力不足
日本は少子化などにより「労働力不足だ」と言われています。
厚生労働省による令和5年11月の有効求人倍率(*1)は1.28倍となっていますが、1.28倍ってどれくらい労働者不足なのでしょうか?
「求人募集128人に対して求職者が100人しかいない」といえばイメージしやすいでしょうか。あと28人の求職者がいれば、すべての求人は満たされることになります。
では、この不足している28人をどうやって募りましょうか?
・・いえ、それはちょっと待ってください。
その「外国人労働者」という「逃げ」はひとまず置いておきましょう。(*2)
まずは、日本にいる潜在的な労働力を探してみます。
※女性にもっと活躍してもらいたい
一番に思いあたるのが、「本当はもっと働きたい」と思ってらっしゃる主婦の方たちです。
いわゆる「社会保険の壁」や「配偶者特別控除の壁」(*3)などがあって、その壁(控除上限)を超えないように自らの労働時間に上限を設けています。この壁を超えると、結果的に手取りが減ってしまうからです。
さらに、人材不足になると時給(労働単価)が上昇します。壁の上限を超えないようにするためには、労働時間をさらに減らすしかありません。
この現象は、なにも主婦だけに限ったものではなく、扶養家族である学生さんなども同様の壁によって労働時間を抑制することになります。こういった訳で、さらに労働力不足に拍車がかかるという悪いスパイラル(悪循環)に陥っています。
※少子化への影響
これは少子化にも悪影響を及ぼしています。
世帯収入の上限ができてしまうので「もう一人、子供が欲しい」という気持ちがあっても、すくなからず消極的にならざるを得ませんよね。
※事務効率化と経済への影響
事務的な手間が多く、無駄なコストもかかります。
この複雑な各種控除制度は、行政や企業や個人に(つまり国民全体)に余計な手間と時間をかけさせています。事務が簡素化されれば、労働力不足の解消にもなりますし、企業の利益も増えます。ひいては税収もあがるはずです。
※管轄省庁はみんな大好き〇〇省
少し前までの日本にはこの制度があっていたのかもしれませんが、夫婦共働きが普通になった現在では、デメリットの方が多くなっているように思います。前述してきたように、複雑でわかりにくい上に、労働力への悪影響など、いろいろと問題が多い制度です。管轄省庁は、社会保険なら厚生労働省、扶養控除などは税制ですので財務省です。
こういった諸問題を解決する糸口として挙げているのが、「二分二乗制」(二分二乗方式ともいう)です。これは現行の制度(*4)の不公平感、収入抑制、少子化への影響などの問題点の多くを軽減できる制度だと言えます。
ただ、日本保守党のこの「二分二乗制」はあくまで一つの案であって、こういった方法も含めて包括的に提言をしていくのだと思います。
※「二分二乗制」とは
夫婦の所得合計の半分(二分)の金額を税率表に適用し、それで得た一人当たりの税額を二倍(二乗)して世帯の税額を算出する方式です。
これは、独身者よりも夫婦生活者を有利にする方式ですが、結婚したほうが有利なら、結婚しない理由がひとつ減ります。間接的にではありますが、少子化問題には良い影響を及ぼします。
<効果>
・世帯間の不公平感がない
・労働力不足解消に寄与
・納税額の計算が簡単(場合による)
・結婚の促進効果(間接的に少子化対策に寄与する)
<懸念点>
・独身者が世帯者より不公平だと感じる人がいる (*5)
・子供の扶養控除などについては別の仕組みが必要
といったところでしょうか。
「二分二乗制」のほかには、フランスが実施している「n分n乗制」という方式もあり、これは子だくさんの世帯がより恩恵を得る仕組みです。
国民の可処分所得を増やすためには、現在の所得税制(個人単位課税)や、社会保険制度などを包括的に見直していく必要があるでしょう。
-----注釈など-----
(*1)有効求人倍率 :(有効求人数÷有効求職者数)
1以上なら労働者不足
1以下なら労働者過多
(*2)外国人にお願いするというのは、なるべくならやめておくほうがいいでしょう。お互いが不幸になります。例えば高度な能力をもった外国人は歓迎なのですが、そうでないのなら、結局は場当たり的な対応によって将来にツケをまわすことになります。日本がこの先不況に見舞われると、日本人はもちろん外国人の失業者も増えます。日本人なら近くに家族がいますが、外国人はそうではありません。「用が済んだからさっさと帰れ」と追い返せますか? あるいは、「路上で暮らせ」とでも? 高度な能力を持っている外国人であれば、世界中から「雇用したい」と声がかかるでしょう。また、外国人労働者は日本人と同等の人件費がかかりますので、決して安い労働力ではありませんし、「安い労働者を輸入する」というような発想もあまりよくありません。外国人にとっても、外国人が日本に来る前に思い描いている「夢や理想」などは日本にはありませんし、働けなくなった外国人の生活保護費は日本人が働いて補填しなければなりません。価値観も宗教も言葉も違いますから、大多数の外国人労働者にとって、日本がずっと幸せに暮らせる国とはなりません。
外国人には、自分の国を「夢を持てる国」にするために頑張っていただきたいです。
(*3)「社会保険の壁」は106万、「配偶者特別控除の壁」は150万です。他にもこのような「制度によってできた壁」はいくつか存在しています。
(*4)現行制度は「個人単位制」に各種控除を付加した制度です。
(*5)もしこれも不公平だというなら、同じ日本人同士で収入が違うのも不公平ということになってしまいます。「家庭を持つということは、社会にとって良いことだ」という認識が薄いから、不公平だと思ってしまうのかもしれません。社会にとって良いことをしているのだから、社会から恩恵を受けるのは当然です。家庭を持つことが「社会にとって良い」理由が何なのかは言うまでもないでしょう。「国民から孤独を取り除き、助け合って幸せを享受しあうという自助」が、家庭を持つ社会的意義のひとつです。
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