日本保守党を理解したい

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【鯖尾ノート】日本保守党 政策11.日本版「台湾関係法」制定

11.日本版「台湾関係法」制定

2023.12.21
そもそも「台湾」ってなんでしょうか?
「台湾」という独立国なのでしょうか?
「中華人民共和国(以下、中国という)」に属している自治区なのでしょうか?


【台湾とはなにか】

この「台湾」というのは国名ではありません。
「台湾本島を中心とした地域」の名前です。(下図、赤のエリアです)

引用元リンク:File:Locator map of the ROC Taiwan.svg - Wikimedia Commons


そして、この台湾地域を統治しているのは、「中華民国」という、れっきとした国家です。
もちろん軍隊(中華民国国軍)も持っています。
「中華人民共和国」と「中華民国」とは異なる国家です。


【一つの中国政策】

では、なぜ「中華民国」と呼ばないのでしょうか?
中国が「台湾地域も中国のものだ」として、中華民国を国家として認めないように、世界各国に圧力をかけているからです。
日本は1972年、日中国交正常化のために「一つの中国政策」を受け入れました(日中共同声明)。その結果、中華民国と日本との国交は断絶し、日本は「中華民国」が支配する地域を中国に配慮して「台湾」と呼ぶようになりました。
日本と中華民国の国交は断絶しましたが、大使館に代わる窓口機関(公益財団法人)が現在も両国に設置されています。
※現在、中華民国を国家として認めている国は13か国で、諸島国8か国とバチカンを含む5か国です。


【日中共同声明】

「日中共同声明」における両国の思惑とはどういったものでしょう。


<日本の思惑>
戦争賠償請求権の放棄を念押ししたい。
⇒声明文 五「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」


日中間の安全保障を担保したい。
⇒声明文 六抜粋「両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」



<中国の思惑>
中華民国を消滅させ、台湾を中国のものにしたい。
⇒声明文 二 「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。」


日本が台湾の領有権を主張しないよう念押ししたい。
⇒声明文 三 「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」
※ポツダム宣言第八項とは、日本の主権は本州、北海道、九州、四国その他の小島に限るとしたもの。


これは条約ではなく声明です。たとえ中国とどんな約束をしたとしても、それが守られる保証などどこにもありません。実際に尖閣諸島周辺では、毎日のように日本に対して不当な圧力をかけてきています。


ところで、中国共産党の恐ろしさ(素晴らしさ?)については、以下の書籍が非常に参考になると思います。また、日本の愚かさにも気づかされます。
『中国共産党 暗黒の百年史』著者:石平


【米国の台湾関係法】

米国には「台湾関係法」という法律があります。
この法律は、米中国交樹立に伴い、米国が中国の「一つの中国政策」に同意し、中華民国と国交が途絶えた際に制定されたものです。
その内容を要約すると、


米中国交樹立は、台中関係が平和的に解決することを前提としている
・国交は途絶えたが、米台の交流は促進していく
・台湾の平和と安定は米国の国益に合致するので重大関心事である
・米国は防御的兵器を台湾に供給する
・台湾有事のために、米国は武力行使を含めた対抗能力を維持しておく
・この法律の適用においては、他国や組織に口を挟ませない
・この法は、台湾のいかなる権利・法律などを侵すものではない
・米国の在台協会と台湾による在米協会を設置する
・台湾との国交がないことを理由にして、この法律に反するようなことは許されない。
・・・などなどです。


この法律を見る限り、米国としては米中の国交樹立は、将来、台湾問題が平和的に解決されることを希求し、前提としていた、ということが理解できます。
米中国交正常化で、米国は「一つの中国政策」を受け入れました。
しかし一方では「台湾関係法」を制定し、中華民国(台湾)と米国との新たな関係を構築し、米国が軍事的に台湾を保護することなどを定め、地域の安全保障のバランスをとろうと試みています。
この法律は中国に対してのメッセージであり、中国が台湾に対して軍事力の行使や謀略行動への抑止力となっています。
もちろんこれらの方針は、なにより米国の国益に沿ったものです。


【台湾周辺の安全保障】

日本の外交のすべては、日本の国益に適うものでなければなりません。
現在の中国は経済・軍事力ともに強大化し、その領土的野心は日本を含む周辺国に向かっています。東シナ海・台湾・尖閣諸島などは喫緊の戦略的目標であり、日々周辺国への圧力行動を強めています。中国共産党のお家芸ともいえる浸透工作(注釈2)も、台湾は勿論、EU諸国はじめ米国、オーストラリア、そして日本においても一定の成果をあげているようです。
現在の中国にとって、日中共同声明はもはや守る意味をもたず、ただ日本に対して「一つの中国」を押し付けるため、そして「日本からの経済的恩恵」のために都合よく利用されています。2022年の日本の対中貿易赤字は38億7,602万ドル(前年比 -4.6%)にものぼりますし、過去10年間の収支総額は288億ドルの赤字です。
これでは日本の国益に適っているとはいえません。(注釈1)


台湾に対して中国が戦闘を仕掛けないのは、米国が「台湾有事の際は全面的に支援する」と、きっぱりと宣言しているからにほかなりません。
もし米国が、台湾の安全保障に対して無関心であったなら、いくら台湾の軍隊(中華民国国軍)が優秀な軍隊であっても、海上封鎖によって、あっという間に中国人民解放軍の手に落ちることでしょう。中国人民解放軍は、日本の与那国島、尖閣諸島を含む沖縄県南部の諸島群はもちろん、隙あらば沖縄本島までも、その機に乗じて手に入れようとするのは想像に難くありません。台湾有事は、直ちに日本有事となるわけです。
日本は、米国の台湾関係法のような台湾周辺地域の平和と安全に貢献するような法律すらも持っていません。日本有事を防ぐためには、中国を台湾に進出させないよう抑止する必要があります。日本版台湾関係法を制定することによって、米国の台湾関係法におけるような抑止力を強めることができます。


【日本版台湾関係法とは】

日本が憲法9条の改正を待たず台湾関係法を制定するのであれば、それは米国と違う立場で制定しなければならないはずです。
米国の法にある、
・防御的兵器を台湾に供給
・米国は武力行使を含めた対抗能力を維持
などは現在の日本では使えない内容だと思います。


では、どうすれば軍事的抑止力を十分に担保できる法律を策定できるでしょうか。
たとえば、日本には自衛権が認められているわけですから、沖縄列島の防衛を主眼とした条文なら問題がないのではないかと思います。


こういうのはどうでしょうか。
「(台湾有事の際は)日本国の防衛のため、自衛隊による沖縄列島防衛線を構築し、日本の領海内の安全航行のために、同盟国軍および台湾軍(中華民国国軍)と緊密な連携を図る。」


沖縄列島周辺海域で防衛線を構築し海上補給路を確保できれば、中国の海上封鎖を防ぎ、米国の台湾支援活動も円滑に進みます。
対中国とはどこにも記載していませんが、この暗喩は、中国に武力による台湾進攻を躊躇させる効果はあるはずです。法律による抑止力です。
とはいえ、中国は、50年、100年かかろうとも、台湾と沖縄への浸透工作は継続して強めていくはずです。いずれ沖縄で独立運動がおきれば、沖縄列島もろとも台湾までもが中国の手中に落ちることでしょう。


日本版台湾関係法は抑止力を高め、地域の平和と安定に貢献する法律になるでしょう。
日本は武力だけではなく、法律でも、平和に貢献できるわけです。


(青線が(鯖尾的)沖縄諸島防衛線)尖閣諸島などは小さすぎて表示できていません。

引用元リンク:File:Locator map of the ROC Taiwan.svg - Wikimedia Commons



-----注釈ほか-----
注釈1:貿易収支が赤字だから日本の国益にそぐわないと短絡的に結論付けているわけではありません。コロナ前までは日本産業のサプライチェーンの一端を担うものとして一定の存在感はあったと思います。しかし、そのために中国に進出した日本企業の技術流出や資本損失までを含めるとその損失額は膨大ものになるでしょう。そして現在、中国が国力をつけた結果、日本に対しての軍事的圧力(ロシアとの海上合同演習)や誹謗中傷(ALPS処理水を巡るネガティブキャンペーン)などの反日的姿勢を露わにしています。これらを総合的に考えれば、あきらかに「中国との経済交流は日本の国益を損なっている」と結論付けることができるでしょう。


注釈2:浸透工作とはスパイ活動の手法で、相手の組織や国家(社会)に潜入し、諜報はもちろん、思想誘導(プロパガンダ)や、情報操作、政治への影響力、社会の連帯意識や価値観の崩壊を目指すなど、あらゆる方法で組織を内部から瓦解させるための活動をおこなうこと。





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