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【鯖尾ノート】日本保守党 政策6.海上保安庁法改正~

6.海上保安庁法改正(諸外国のコーストガードと同等の対処力を保持する)

2023.12.9
憲法9条、自衛隊法、そしてこの海上保安庁法の改正。
日本の安全保障を担保するためには、たくさんの課題があるということなのですね。


もう日本人はすっかり慣れてしまっている、尖閣周辺海域への中国海警の日本国領海侵犯。
現状を調べてみました。
次のグラフは、海上保安庁のHPから借用させていただきました。https://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html

最近の状況は、
(青い線グラフ)接続水域内への侵入を確認した延べ件数(月100件程度)
(赤い棒グラフ)領海への侵犯行為を確認した延べ件数(月8件程度)
です。
延べ件数ですので、一隻が接続水域と領海内を行ったり来たりしていることもあるということです。
侵入行為のうち、領海侵犯がほぼ8%ですので、おおよそ目標をもって計画的に実施しているというのが見てとれます。
グラフでは、H24.7(2013.7)から急激に件数が増えています。この時期から、中国が尖閣への領土的野心に基づく既成事実の積み上げを本格的に開始したといえます。それまで、国家海洋局の「中国海監総隊」という名称だったものを、新たに「中国海警(CHINA COAST GUARD)」と変更しています。
海上保安庁のHPには、さらに日ごとの統計など詳細な情報が記載されています。
海保隊員さん達の日々の活動におけるプレッシャーたるや相当なものだと思います。
改めて感謝と尊敬の念を抱きます。

(海上保安庁 活動の紹介動画:https://www.kaiho.mlit.go.jp/kaiho.mp4 )


【尖閣海域への中国船による侵犯行為の大まかな経緯】

・中国公船による領海侵入は、2008年12月に中国国家海洋局(当時の名称)の2隻の船舶が日本の領海に侵入したのが最初の様です。
・2010年9月には、日本領海内で中国漁船が海上保安庁の巡視船に意図的に体当たりする事案が発生し、船長を逮捕しましたが、これに対して中国が複数の報復処置(盗人猛々しいとはこのこと)をおこない、のちに中国人船長は釈放。これについては、当時の前原誠司外相が、「菅直人首相が中国との関係悪化を懸念し釈放を命じた」と暴露しています。

『カエルの楽園』(百田直樹著)を思い出します。


【海上保安庁法】

第二条 海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海洋汚染等の防止、海上における船舶の航行の秩序の維持、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を行うことにより、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする。
となっています。


米国の沿岸警備隊はどうなっているでしょうか。
湾岸警備隊は、合衆国法典第14編において、その主な任務を定めているようです。

(以下、翻訳文の抜粋です)
§102。主な任務
沿岸警備隊は—
(1) 米国の管轄下にある公海および海域において、適用されるすべての連邦法の執行、またはその執行を支援する。
(2) 米国法の執行または執行を支援するために、海上航空監視または阻止に従事する。
(3) 米国の管轄下にある公海および水域上およびその下で、法律を管理し、生命および財産の安全を促進するための規制を公布および執行する。これは、法律によって他の行政部門に特に委任されていないすべての事項を対象とする。
(4) 国防の要件を十分に考慮して、公海上の安全を促進するための海上航行補助施設、砕氷施設、救助施設を開発、確立、維持、運営すること。米国の管轄権に属します。
(5) 国際協定に従い、公海および米国の管轄下にある海域以外の水域、水域および水域上で砕氷施設を開発、設置、維持および運営する。
(6) 公海および米国の管轄下にある海域の海洋調査に従事する。そして
(7) 第 103 条に基づいて海軍の特殊部隊として機能する場合を含め、米国の防衛を支援する準備ができた状態を維持する


上記下線部分は、海上保安庁法と比較して、目立って異なっている点だと私が判断し付したものです。


海上保安庁法との一番の違いは、
(7) 「海軍の特殊部隊として機能する場合を含め、米国の防衛を支援する準備ができた状態を維持する」
です。
湾岸警備隊は「米国防衛のために海軍の指揮下に入り活動したりするので、いつでも行動できるように準備を怠らないように」と書かれています。
日本も安全保障を維持するために、日本が持つあらゆるリソースを有効に活用しなければなりません。
「諸外国のコーストガードと同等の対処力を保持する」という日本保守党の政策には、こういった実効的、合理的で無駄のない体制をつくり、日本の安全保障能力の強化につなげようという意図が感じられます。



その他の下線についての感想は以下の通りですが、大したことは書いておりません。


(2) の「阻止」という言葉は、「米国法執行のために、その対象を阻止するという」という意味です。語彙の比較として印象的でしたので下線を付しました。
海上保安庁法では「鎮圧」「逮捕」がそれにあたる単語だと思いますが、これらの対象は、あくまで治安維持のためであるようで、「犯人」や「犯罪」という国内法で規定される犯行に限定されています。前述の中国人逮捕は、公務執行妨害の犯人なので逮捕したということです。
ちなみに、海上での国家の権利を規定するのは国内法だけではないようです。
国連の条約で海洋法条約というものがあり、(海洋法条約25条)では「1 沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる。」となっています。日本の国内法によらなくても、国際法に違反すれば、その船舶を停船させて「職質」のようなことをする権利はあるようです。


(3) 「法律によって他の行政部門に特に委任されていないすべての事項を対象とする。」
日本の法律は、できることをいちいち記載するポジティブリスト制度ですが、米国法ではネガティブリスト制度が必要に応じて採用されているようです。具体的なものを初めて目にしました。


(4) 「国防の要件を十分に考慮」するという前提で、(ここでは施設関連の)業務をするわけです。
海保の隊員の方たちからは、大いに「国防への気概」を感じるのですが、海上保安庁法からは「国防」という理念はあまり感じ取れない気がします。




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